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「加盟校レポート」24 京都工芸繊維大学「美術工芸資料館」

■はじめに

こんにちは。教まちや事務局です。

今回は、大学コンソーシアム京都FD企画研究委員の先生に加盟校の活動をご紹介いただく「加盟校レポート」シリーズです。

24回目となる今回は、京都工芸繊維大学 大学院 工芸科学研究科の武田実先生より、「美術工芸資料館」について、ご紹介いただきました。

資料館が所蔵する美術工芸資料は、京都工芸繊維大学の前身の一つである京都高等工芸学校(1902年創立)の創立以来の収集品が基盤となっています。美術工芸資料館設立時の収蔵品は約16,000点、分野は絵画、彫刻、金工、漆工、陶磁器、繊維品、考古品等多岐にわたります。 開館後はポスターコレクションの充実に力が入れられ、 その出発点には、京都高等工芸学校創設時の教授である浅井忠氏がパリで収集した広告図(ポスター)や、武田五一氏が集めたドイツ語圏のポスターの存在があります。
また、1995年には建築家村野藤吾氏の建築図面(オリジナル・ドローイングを含む)の寄贈を受け、 その整理・調査・研究の成果を含め順次公開されています。 2017年12月時点の収蔵品数は約51,000点とのことです。
取材当日は、浅井忠氏が1902年にイタリアで購入した巨大ポスター2点が115年の歳月を経ての初公開と、所蔵品である日本の博覧会ポスターの変遷を紹介する展覧会『浅井忠と博覧会ポスター展』。また、昭和期の機械捺染(なっせん)の図案という歴史資料を現代の生活のなかに活かす試みを紹介する『近代京都の機械捺染図案を今ふたたび―よみがえる寺田コレクション―』が開催されていました。(共に開催時期は2018年2月16日まで)

さっそく中に入ると、1階展示ホールには巨大ポスターがずらり!
ポスターの迫力に圧倒されている教まちやスタッフを迎え入れてくれたのは、美術工芸資料館館長、工芸科学研究科教授の並木誠士先生です。



美術工芸資料館の成り立ちや魅力について、並木館長にお話を伺いました。

■100年以上の歴史を持つ資料の数々

教まちや:はじめに資料館の成り立ちについてお伺いいたします。


並木館長:当館設立の背景は、本学の前身の一つである京都高等工芸学校の設立(1902年)に遡ります。
当時、明治維新を経て近代化が進む中、京都の伝統産業も工業化・近代化への対応に迫られていました。しかしながら、例えば、海外に市場を広げていくにあたり、どういうデザインのものを作れば日本の工芸品を選んでくれるのか、自動織機のような機械をどう使うか、化学染料をどう扱うかなど、そういったことを学べる専門の機関は京都にありませんでした。
そこで、本格的なデザイン教育をおこなうはじめての専門学校として1902年に開学しました。
京都高等工芸学校は、本学の前身である図案科、色染科、機織科の3学科で構成されていました。中でも図案科では、当時の教員の浅井忠氏や武田五一氏が、ヨーロッパで、ポスターや美術工芸品を購入し、デザインなどを教える際の教材として使用していました。


教まちや:そのポスターが、ホールに展示されていたものですか?


並木館長:はい、その通りです。当時は、まだ日本ではポスターという概念がありませんでしたので、最先端の教材と言えますね。これらの当時の教材として使用された美術工芸品が本資料館の核となっています。それらは長い間、本学の図書館で保管していましたが、教育研究に活用するとともに、広く一般にも公開しようということで、1980年にこの建物ができ、翌1981年に、学内共同利用施設として、本資料館を開館いたしました。


教まちや:約100年前の美術工芸品が展示されているんですね。非常に歴史を感じます。


並木館長:そうですね。先ほど申し上げた通り、京都工芸高等学校の開学初期は、ヨーロッパのデザインを指向していました。当時の1900年ごろといえば、ヨーロッパでは、「アール・ヌーヴォー期」と言われ、新しい芸術活動が非常に盛んに行われた時期です。この時期の美術工芸品やまたホールに展示していますものをはじめとするポスターのコレクションは全国的に見ても非常に充実していると思います。他機関からも問い合わせをいただき、貸し出しをおこなうこともあります。


教まちや:年間来場者はどのくらいですか?


並木館長:年によって違いますが、年間延べ約1万人の方々に来場いただいています。常設展示と年間6~8回程度の企画展示をおこなっています。


教まちや:学生も活用されているんですね?


並木館長:もちろん授業でも活用しています。特に博物館学芸員課程では、博物館実習の授業をこの資料館でおこなっています。

■今後の展開について

教まちや:今後の展開についてお伺いいたします。


並木館長:本資料館も大学の施設なので、一番は、学生にもっと積極的に活用してもらうことです。また、先ほどお話ししたように、本資料館の展示品は、1900年代の開学時の美術工芸品が中心ですが、それ以降も、継続的にポスターの寄贈を受け、充実したコレクションにもなっていますし、かつての建築物の図面なども寄贈いただいています。
建築物の図面については、学生が図面を見ながら模型を作り、当時の建築物の特徴を学ぶ他、展覧会でその模型を展示しています。
建築に関する展覧会は、実物を展示するわけにはいきませんから、なかなか難しいのですが、本資料館は定期的に、建築に特化した展覧会を開催しており、全国的に見ても比較的特徴があるので、そのような、教育・研究と密接に結び付いた、建築に関する展覧会は今後も積極的に開催していきたいと思います。
この他、例えば京都市立芸術大学など、本学と同系統の大学は、本学にある資料と同じような資料を持っておられることがあるので、そのような大学と資料の貸し借りをしたり、共同で、近代京都の絵画や工芸品の特徴を浮かび上がらせるような展覧会も行っていますので、そういったことも今後引き続き継続していきたいと思っています。

■さいごに

インタビュー終了後、1階の展示ホール、また2つの展示室で行われている企画展を並木館長に案内していただきました。
展示ホールの『浅井忠と博覧会ポスター展』では、冒頭でも紹介したように巨大なポスターが23点展示されており、ホール中央ではプロジェクターを使って1900年パリ万国博覧会の写真が投影されていました。第1展示室では、日本の万国博覧会のポスターコレクションが壁一面に展示されており、変遷が非常によく分かります。




第2展示室では、『近代京都の機械捺染図案を今ふたたび―よみがえる寺田コレクション―』という企画展が行われていました。「昭和期の機械捺染の図案を現代に活かす」という試みで、大正から昭和初期にかけて発展した機械捺染産業で用いられていた図案の、德岡工業株式会社による建材用プリントへの展開、また、百貨店京都髙島屋による浴衣制作への展開が紹介されていました。




さいごになりますが、インタビューだけでなく、館内をご案内、解説いただきました並木館長、誠にありがとうございました。

京都工芸繊維大学 美術工芸資料館HP

 

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