トップページ ニュース 「​加​盟​校​レ​ポ​ー​ト​」​8​(​前​編​)​ ​和​顔​館​と​ラ​ー​ニ​ン​グ​コ​モ​ン​ズ​:​龍​谷​大​学​ ​林​久​夫​先​生

「​加​盟​校​レ​ポ​ー​ト​」​8​(​前​編​)​ ​和​顔​館​と​ラ​ー​ニ​ン​グ​コ​モ​ン​ズ​:​龍​谷​大​学​ ​林​久​夫​先​生

2015 / 10 / 7 / 水
龍​谷​大​学​

■2015年4月オープン
こんにちは。教まちや事務局です。
今回は、大学コンソーシアム京都でFD企画研究運営委員の先生方にご担当いただいている「加盟校レポート」シリーズです。
第8弾となる今回は、龍谷大学 理工学部 教授 林久夫先生に龍谷大学に今年4月にオープンした、和顔館(わげんかん)「ラーニングコモンズ」についてご紹介いただきます。
林先生と事務局スタッフを迎えてくださったのは、学修支援・教育開発センターの長谷川センター長と井上課長、石橋さんです。
それでは早速、インタビューの様子をご紹介いたします。

■和顔館誕生により新たな流れができつつある深草キャンパス
林先生及び事務局(以下、林):大変ユニークな建物ですが、この和顔館「ラーニングコモンズ」がオープンしてから深草キャンパスにおける学生の流れは変わりましたか。

龍谷大学(以下、龍) 今年度から国際学部が瀬田より移転してきたので学生数は大きく増えました。この和顔館は深草学舎の各教室から京阪深草駅、JR稲荷駅に通じる東門への動線となっております。帰りは各教室からコモンズを通って東門から出ることで、キャンパス内に滞留する学生は多くなりました。この立地により思いがけない効果を得られました。
今までなら、授業後はまっすぐ帰っていたのが、コモンズでちょっと座って本を読んでみたり、待ち合わせたりする学生が出てきています。図書館の入館者数は昨年の1.5倍になっているというデータも出ています。学生のキャンパス内の滞在時間は確実に増えています。正課であろうが課外であろうが、キャンパス内に人がいるという効果は大きいですね。
流れという点で1つ不安だったのが、和顔館近くで昼食を販売しているのですが、食事をとるための学生が入ってこないか心配でした。食事は可なのですが、メインとなってはいけません。しかし、声掛けや、ポスターの掲示等で徐々に食事は旧図書館の入り口付近やラウンジでということを学生も認識してくれたようです。また、深草キャンパス全体でうまくゾーニングされて、西側に食堂エリア、東側にコモンズが配置されたのも、今の流れをつくるきっかけの1つになったと思います。

林:オープンして3か月ですが、学生の利用状況はどのような感じでしょうか。
龍:さきほど申した通り和顔館は学生の通学時の動線となっております。そのため、たくさんの学生が出入りするので測定の仕方が難しいのですが、時間ごとに定点観測しています。昼前からじわじわと増え始め、お昼の時間帯は7割近くの席が埋まっています。席数で7割が埋まるとこれでほぼ満杯の感じになります。その後も夕方から夜にかけて2割近くの席数を埋める学生がいます。オープン前に比べると学生のキャンパス滞在時間が長くなっている印象です。
林:このラーニングコモンズでは主にどのような活動がありますか。
龍:1つのテーブルの四面に並べられたホワイトボードに、ずらっと論点を書いてディスカッションしたり、自身のプレゼンを動画で撮影しお互いで評価していたりします。学問の分野や学部によって利用のスタイルが様々であることを感じます。4月のオリエンテーョン期間にこの施設のガイダンスを行った学部などでは利用率が高い傾向があります。    ある学部の先生は意識的に、ここで学習するように学生を連れてきては指導しています。授業後の活動や自主的な集まりなどでもここを利用するよう指導されているようです。授業時間帯でも空いていたら授業を行ったりもできます。アクティビティホールという多様な用途に対応できる場がありますが、毎週ゼミの発表やその練習で埋まっていたり、先生の研究発表等でも使われていたりします。

林:課外活動でも利用できるのでしょうか。
龍:本来であれば、サークル活動は遠慮してもらうのですが、周りに迷惑がかかるもの以外なら細かく制限はしておりません。明らかに遊びを目的として滞在している場合については注意をしています。ホワイトボードに書かれている内容から判断することもありますね。多種多様な学生が使うことで新たな気づきを得ることも多く、それらに逆に助けられている印象はあります。    今後も学生の数を定点で測っていくこと、学生の具体的な活動を日々記録していくことは続けます。後期にかけてやっていきたいこととしては、コモンズのさらなる利用促進に向けた工夫の検討、例えばホワイトボードの有効活用策のコンテスト、事例集作成などを考えています。

■見えることによる効用
林:学修支援という観点で何か取り組みがあれば、教えていただけないでしょうか。
龍:コモンズでは主に学部の低年次生を対象としたライティング支援を行っています。コモンズにはスチューデントコモンズ、グローバルコモンズ、ナレッジコモンズの3つのゾーンがありますが、これら3つのコモンズでチューターを行うには共通して基本的な文書、レポートの書き方をレクチャーできる能力を備えてもらっています。「レポートとは」といったことや、「問いの設定の仕方」などです。

林:あらためて和顔館の検討時の方針等をお聞かせいただけますか。また、学修成果への効果はでてきていますか。
龍:和顔館建設に当たって、学修支援・教育開発センターやグローバル教育推進センターといった事務室を1階に配置しました。その理由はこれまで学生が活動する姿が見えなかったとの反省によるものです。以前は、職員はカウンター越しで学生と接して、教員は教室で教壇越しに学生と接していました。学生はパソコンを利用したり、借りたければ情報メディアセンター、本を読みたければ図書館といったように、様々な機能があってもそれぞれが部屋や建物で分断されており、今までは学生の姿や動きが見えない状況でした。そこに建物を建て替える検討がなされはじめ、パソコン機器の貸し出しや、図書館、教室、これらを一緒にし、この機会に見えるようにしたいと思っていました。教員の学生に対するイメージ、学生の教員に対するイメージを変えたかったのです。教室という閉鎖された空間では何が行われているのかが視覚的にわかりません。その点、ここでは全てが見えます。コモンズでの活動を教員が目にする。学生が主体的に学ぶ姿を見ることで先生方も安心されるようです。
学修成果も目的の1つで大事ですが、正課とコモンズは常に付かず離れずの関係である方がよいと考えています。ライティング支援のスタンスもそうですが、常に「気づきを与える場所」として機能することが望ましいと考えています。学生がいろいろな活動を見て「こういうことができるんだ」と思ってもらえるような運営を心がけています。
林:初年次教育センターの役割も担っているのですね。
龍:そうです。レポート以外にも、授業で聞けなかった問の回答を得られることもあれば、先生に見てもらうまでもないけど、少し添削してもらえないかといった依頼もあるようです。

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インタービューも盛り上がってきましたが、いったん今回はここまで。
この続きは、次回の後編でお伝えします。ラーニングコモンズの現在の状況から今後の運営についてなどをお伝えしたいと思います。どうぞお楽しみに。

 

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