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「加盟校レポート」3(後編)京都三大学教養教育共同化:京都工芸繊維大学 西田秀利先生

■お待たせしました

こんにちは。教まちや事務局です。
加盟校レポート第3弾の後編です。
京都三大学教養教育共同化について、京都三大学教養教育研究・推進機構の教育IR
センター長である大倉弘之先生(京都工芸繊維大学大学院教授)へのインタビューの続きです。

引き続き、京都工芸繊維大学 
西田秀利先生、宜しくお願いします。

それでは早速、前回の続きをどうぞ!

■京都学って?

西田(以下、西):共同化の背景としてグローバル化があるとのことでしたが、私は必然的な文化のグローバル化の中で、どうローカルな出自を残しながらグローバル化に対応していくかが大切だと思っています。
その意味でいうと、共同化の目玉の
1
つが「京都学」。
京都は何でも学問になる場ですが、「京都学」は我々の出自としての大学、市民を成熟させるうえでどう関わるとお考えでしょうか。



大倉(以下、大):京の地に我々の大学があることは非常にありがたいことで、世界から人がやって来る恵まれた環境にあります。京都の産業、文化は国際的な特徴を持っています。そういう意味で、京都に校舎を持つ本学としては、学生がせっかくこの地で学ぶのだから、京都の文化・芸術・産業を是非知ってほしいと考えています。
また、この北山は自然にも恵まれているので、京都について学ぶだけでなく、感じ取ってほしい。そういうことで「京都学」ができたんです。
また、一週間前から「京都学事始展-近代京都と三大学-」が工芸繊維大学美術工芸資料館で開かれていますが、これは、京都の医療、産業、文化に深く関わって来た三大学の足跡をたどるリレー講義科目と連携した企画なんです。

西:私が学生のころは木屋町辺りへ飲みに行けば、いろんな学生や社会人との交流があって、議論したり話に耳を傾けたりしたものですが、そういったことは今は昔なんですかね。それで、「京都学」ですか。

大:その辺りはわからないですが(笑)、「京都学」という専門分野を超えた学びを通してこの北山ゾーンで学生が勉学・クラブ活動などでいろいろな交流が始まること、新しい学生の生活スタイルが生まれることを期待している面は確かにありますね。


■先祖帰りのリベラルアーツ?

西:先生のお話を伺っていて頭の中に浮かんだのは、我々のもっと前の世代の旧制高校のイメージです。
旧制高校はリベラルアーツ中心で、多様な人材がごっちゃになって寮生活を送る。そのあと、教養教育が非常に軽視された時代がありましたが、この新しい教養教育は旧制高校への先祖帰りみたいなイメージでしょうか。

大:ある意味あたっていると思いますね。戦後の日本の新制大学での教養教育はもともと設置基準で一般教育という枠組みがあって、その中でやっていたのですが、そのひな形は旧制高校のものであったと思います。しかし、その後、高度成長、日本の経済発展、そして経済のひずみがあって、歴史的経緯の中で教養教育の本来のあり方が変容してきて、「ぱんきょう」と言われて学生から軽くみられる傾向となってしまった。
昨今、教養教育が見直されているのは先祖帰りとみて、ある意味で正しいと思いますが、現代的な意味が新たに付け加わっています。例えば、今日本では東日本大震災の復興という課題があり、人と人がつながる社会性、市民性が新しい形で求められている。そういう人間性を養うための教養教育を目指しているんです。



西:昔は就職に際して、会社は「色がついていない真っ白な学生をください、あとはこっちが教育していきます」という時代がありました。それは会社がリベラルアーツ的なことをやっていたのだと思うんです。
今の状況は、会社にそこまでの体力がないので、「入ってすぐに即戦力となるような学生をください」という方針に変わってきています。即戦力となる学生を大学は育成すべきかというと、私はそうではないと思っています。即戦力としてのスキルを持ってないとやっぱり困りますが、それ以上にちょっと前の時代が忘れていた倫理観・哲学などのリベラルアーツを持った学生を社会に送らねばならないと思っています。大学の使命は成熟した市民を作ることだと思っているので、その点ではリベラルアーツを身に付けて自分なりの倫理・哲学を持った学生を社会に送り出す役割が出てきたのかなと思っています。
だから今、リベラルアーツが再び盛り上がってきたのではないかと思っているんですが、その辺はどう思われますか?

大:企業が即戦力を求めているのはいろんな面があると思います。教養教育が見直されているのも財界からの要請を反映させている点があるんでしょうね。
ただ、即戦力というだけでなく、倫理観をもち社会の大きな変化の中で自律した人間、未知のことでも自分で判断できるそういう人間が今必要であると考えています。

  最近、中央教育審議会でも「学士力」が提言されていますが、その中でコミュニケーション能力だとか作文だとか言語能力だとか、いわゆるジェネリックスキルを求める場合が多いんです。教養教育はそういうものを教えればよいという見方がありますが、それだけではないと思います。
市民として自律した存在になるよう教育を行う必要があると思うんです。

■今後の共同リベラルアーツ

西:いよいよ今日(※2014年9月29日)の午後から新しい共同化施設での授業が始まります。今後の三大学教養教育共同化についてはどのようにお考えでしょうか。

大:私も授業を担当しました。三大学を意識してグループ学習を取り入れましたが、学生から面白い意見が聞き取れました。後期からは共同化施設で実施するため、もっと学生が入り混じるでしょうから、いろんな可能性を感じますね。
また、共同化施設になると一カ所で授業を受けられるメリットがあるものの、移動に時間がかかるんです。そのために、月曜の
345限に時間割をまとめる工夫をしています。工芸繊維大では、1年次の2
限目には授業を置かないルールにして、移動する時間を確保しました。
  

             


また、大学コンソーシアム京都と連携していろいろなFDプログラムを共有しています。この連携によって、質保証や教養教育の在り方などの研究会を全国に呼び掛けて実施してきました。
さらに、授業担当者を中心に「科目担当者会議」を開催しています。これは、授業計画や授業方法を共有してより良い教養教育を模索するための仕組みです。
この共同化の取り組みはスタートしたばかりですが,この京都の北山の地から新しい教養教育が育って、全国へ発信できたらと期待をかけています。

■いよいよ本格実施!

西:先生は準備段階から関わってこられましたが、最後に、裏話や苦労話があればお聞かせください。

大:私の専門は数学ですが、数学の教養科目を立ち上げるにあたって理系バリバリの学生以外の学生にどうしようかと(笑)。そこで、数学の長い歴史をもとになぜ数学の問いが起こったのかという背景を取り入れることにしました。教養としての数学という点ではおおむね好評だったのでホッとしています。こういうバックグラウンドの大切さを再認識しましたし、勉強になりました。

また、三大学共同でやるとなると、学年歴がまず違う。三大学で15回の授業を保証することだけでも大変でした。そのために学年歴や学則を変えたり、試験の取り決め、暴風警報での対応など、各大学でこれまでの決まりがある中で、全体で共通基盤を作ることは大変な作業でした。
三大学で一緒にやるところと、各大学の個性を尊重するところをうまく切り分けながら、全く個性も目標も違う三大学が集まり、教養教育だけとはいえ、共同していくことは思った以上に大変でした。課題はまだまだあります。

  しかし、何とか本日からの本格実施を迎えることができました。ありがとうございました。



*****************************
西田先生、大倉先生ありがとうございました。

3つの大学が共に築き上げていく・・・、毛利元就の三本の矢の逸話を思い出しました。
戦国時代から幕末まで家名を保ち続けた毛利家同様、京都三大学教養教育共同化も今後長く発展を続けていくと思いますので、また機会がありましたら、この教まちやNews
でご紹介させていただきます。

以上、加盟校レポート第3弾でした。

 

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