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SDGsレポート第6回:京都外国語大学
「実学とSDGsの親和性」

2022 / 3 / 29 / 火
京​都​外​国​語​大​学

こんにちは。教まちや事務局です。大学コンソーシアム京都加盟校の、SDGsに関する取り組みを紹介する「SDGsレポート」第6回です。
今回ご紹介するのは、京都外国語大学での取組みです。2018年4月に新設された「国際貢献学部」で、カリキュラムの中心を担うCommunity Engagement ProgramとSDGsに関する学びについてご紹介します。学生が、単なる一参加者としてではなく、コミュニティのメンバーとして協働、連携して取組んでいる活動をご覧ください。

執筆者:京都外国語大学 国際貢献学部 グローバル観光学科 野﨑 俊一 教授

■コミュニティエンゲージメント・プログラムのねらい

京都外国語大学建学の精神『言語を通じて世界の平和を』(ラテン語Pax Mundi Per Linguas)を土台に、国際社会で活躍できる人材を輩出したいという創業者の熱意から誕生したと、当校の堀川理事長・総長は言及しています。

2018年4月、国際貢献学部が新設され、グローバルスタディーズ(以下GS)学科・グローバル観光(以下GT) 学科が誕生しました。学部の特徴として、カリキュラムの中核にCommunity Engagement Program(コミュニティエンゲージメント・プログラム 以下CEP)があります。CEPは実社会を学ぶことをねらいとし、実際に学ぶ場として、企業・各種団体・自治体等の組織をはじめ、地元住民・農家、職人、経営者、社員、起業家、留学生等多岐にわたっています。

コロナ発生前の2019年度海外CEPを実践するために、GS学科ではマレーシア・ペナン、オーストラリア・シドニーとブリスベン、カナダ・トロントにて現地校並びに現地企業と連携して、国際交流と国際関係をテーマとした4週間のプログラムを実施しました。
GT学科はベトナム・ホーチミン、グアム、ペナン、メルボルンにて、現地の観光旅行企業、ホテルでの業務実修をすると同時に、現地校にて英語も学びながら研究テーマにおける現地訪問、インタビュー調査を行いました。

2021年度はコロナ禍で海外プログラム開催が限定される中、GS学科では5コース(高岡市、高校生対象キャンプ、堺市、京都SDGs、米国Southern Illinois University online )とGT学科11コース(明日香村、奈良市、南紀白浜・熊野古道、飯田市・滋賀県、観光プラン作成、京都市文化、越前町、城崎温泉・湯田中渋温泉、京都市スピリチュアル、京丹後市、和歌山県美浜町)を実施しました。2022年度以降、海外渡航が一定条件のもとで緩和されれば、現状の国内中心の活動から、本来あるべき海外プログラムの割合を高めていく予定です。

上記のプログラムを背景に、コミュニティエンゲージメントを国際社会で活躍する人材育成のゲートウェイと位置づけ、1年次で基礎科目を学び、2年次春学期にSDGsも踏まえたCEPの準備講座でコース別に関心事・興味を踏まえた研究・調査テーマを設定し、4週間の協働を通じて、17項目の中から選択したSDGsに取り組んでいます。CEPで学んだ経験をもとに実社会と専門教育とを結びつけ、理論をより深化させたテーマ設定で卒業論文・卒業研究における成果物の創出を目指しています。

学部開設から3年目の2021年度は、学生グループが創業する事例、産学連携でイベントに参画する事例、学会発表する事例等も出てきました。大学コンソーシアム京都主催 第27回FDフォーラム ポスターセッションに参加した学生2チームの発表は、成果物と捉えることができます。

■コミュニティエンゲージメントプログラム修了後の継続的な学び

CEPにおけるSDGsに関する学びの2事例を紹介します。
第1はパネルディスカッションで発表した「CEP城崎温泉コース」の事例です。旅館でお客様に提供されなかった残食に注目した学生は、食品ロス削減をテーマとしました。
その対応策として、旅館組合と地元自治体が協力して堆肥を作り、周辺農家へ飼料を提供する持続可能なサイクルの構築を提案しました。
SDGs目標「2. 飢餓をゼロ」に関連した食糧の安定確保と持続可能な農業の推進、「12. つくる責任つかう責任」の持続可能な消費と生産パターンの確保に焦点を当てました。

3年次に、ゼミの研究活動で学生による食品ロス削減のプロジェクトチームを設立し、その手始めに、京都市内の社会人と外大生を対象に合計600人を超える食品ロス削減に対するアンケート調査を実施しました。調査目的は、食品ロス削減の関心度、食品ロスを減らすために個人として行っていること、そして啓蒙活動です。調査結果をもとに、地元百貨店と食品ロス削減イベントに複数回参画し、一般消費者からの生の声を聴き、消費者への啓蒙の活動を行うことで、学生たちは自ら率先した学びに大いなる手応えを実感し自信にも繋がりました。
さらに、業界内特有の賞味期限に関する「三分の一ルール」の対象となった商品群の活用についても検討し、卒業論文あるいは卒業研究としてまとめることができました。

下京区修徳児童館

第2は事業名SAMPAI(さんぱい)の起業事例です。当該学生はマレーシア・ペナンのCEPコースに参加。2021年6月西陣織など職人が廃棄した織物素材を再利用して、若者向けハンドメイドアクセサリーを製品化しネットビジネスに結びつけました。
2022年3月朝日新聞社が主催している大学生向けSDGs課題解決に取り組むコンテスト「大学SDGs Action Award 2022」において、オーディエンス賞を獲得しました。

香川県豊島産業廃棄物撤去説明

以上2つの事例からもわかるとおり、本学国際貢献学部でのSDGsへの取り組みはCommunity Engagementの取り組みでもあり、両者は表裏一体を成しています。
開学以来、国際社会で活躍する人材輩出を掲げている中で、新たな教育課程の中からも、着実に開学精神の醸成に努めています。

 

 

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