京都産業大学 「PCR検査センターのご紹介」
こんにちは。教まちや事務局です。
今回は京都産業大学に2020年10月20日に開設した「PCR検査センター」について取材いたしました。大学内に産学公の連携で設置されたPCR検査施設としても注目されている同センターについて京都産業大学 総務部 PCR検査センター 林 大介 様にお話を伺いました。
■京都産業大学 PCR検査センター概要紹介
名 称 | 京都産業大学PCR検査センター |
設置場所 | 京都産業大学 雄飛館4F |
施設構成 | 検体採取室/検体取扱室/試薬調整室/PCR測定室 |
広 さ | 約88㎡ |
運用開始 | 2020年10月20日 |
運用期間 | 2025年末までを想定 |
株式会社島津製作所(本社:京都府京都市)と包括的連携協力に関する協定を締結し、同社の開発した「Ampdirect™ 2019-nCoV検出キット」を用い、唾液による検査を行う。
――学内に「PCR検査センター」を開設された目的・開設された経緯を教えてください。
PCR検査導入によって、より安心・安全なキャンパスづくりを目指して開設しました。
検査の実施だけではなく、感染防止への意識向上や感染予防についての啓発活動も行うことで、学生の行動変容に繋げたいと考えています。
設置の目的は、「学内での無症状感染者による感染拡大防止」「他の感染防止策と共に学生の行動変容にむすびつける」「学生の街京都での地域貢献」の3点です。
――PCR検査センターのスタッフ体制を教えてください。学内の教職員の配置もされていますか。
現状は、検査技師1名、専任事務職員1名、派遣職員1名で、近日中に検査技師をもう1名迎え、常勤スタッフ4名体制で運営していく予定です。 稼働日は、月曜日~金曜日の週5日を予定しています。検体を採取した翌日には検査結果を被検者へ通知します。 検査件数は1日40件を目指しています。今後は検査件数を増やし、1日80件の検査ができる体制を整えていくことも検討しています。
――検査対象は京都産業大学の学生・教職員でしょうか。教職員の場合、正規・非正規等職種の違いによる可否はありますか。
検査対象者は京都産業大学の関係者のみとしており、その中でも無症状者のみとしています。 まずは感染拡大防止の趣旨から、集団生活を送る寮生から検査を開始しています。ただ、厳密に大学関係者ということではなく、寮に出入りしている食堂業者の方や、寮務スタッフなども含め、広い意味での京都産業大学の学内関係者が受検可能です。 教職員は正規・非正規問わず検査を受けていただけます。もちろん非常勤の教員も受検可能です。
ー今後、近隣住民の方も検査を受けられるようになるのでしょうか。
本学のPCR検査センターでは、現状、学内関係者に限定した検査を行っています。 今後、府や市の要請に応じて、学外者の検査に対応することも視野に入れ、検討したいと考えています。
ー外部の方の検査を行う場合、入構されることになりますが、どのように対応されるのでしょうか。
本学に来ていただく方法か、病院等外部で採取した唾液を、本学まで運び検査する方法のどちらかになるかと思います。
――1回あたりの検査費用はおいくらですか。
学生・教職員問わず900円です。現金での支払いではなく、証紙を購入していただく流れとなります。
―検査費用の補助はあるのでしょうか。
大学が費用の一部を負担することで、900円という金額設定にしています。なお、学生については、2020年度に限り無料で受検できることになりました。
――想定される学生の具体的な利用シーンはどのようなものがあるとお考えですか。
集団生活を送る寮生や、学外へフィールドワークに行く学外実習生などに対して優先的に実施していきます。その他、長期休暇などで実家へ帰省する下宿生や、対外試合を行う体育会クラブ生などを想定しています。
-学生が帰省の前後に受検等、気軽に利用することもできるでしょうか。
今年の年末は誰もが受検ということは難しい状況ですが、今後本格稼働し、一定数の検査対応が可能になれば、希望者がいつでも検査を受けられる体制にしていきたいと思います。
-教職員の方は、出張の前後で受けるというのもよいのでしょうか。
無症状者に限りますが、教職員のそのような利用も受付可能です。
――検査の受け方、結果通知はどのような方法で行われますか。
事前に予約システムから予約をしていただき、900円分の証紙を購入し、検査を受ける際に、申込書・同意書とともに提出していただきます。
結果通知について、ウイルスが検出されなかった場合には、検査を受けた翌日までにメールで通知します。ウイルスが検出された場合は、電話連絡で待機要請をした上で、保健管理センターの医師から京都市に新型コロナウイルスの発生届を提出します。その後は行政、保健所の対応に委ねることなります。
――唾液の採取については、学外での採取・郵送などの展開も構想としては検討されているのでしょうか。
学生がPCR検査センターに来て唾液を採取するという方法の場合、1日当たりの検査数には限りがあります。例えば、クラブ所属の学生を総合体育館等に集め、一斉に検体を採取し、その後回収した検体をPCR検査センターに運び検査を行うことなどをすれば検査数を増やすことができるかもしれません。しかし、その一方で、陽性の検体も入っている可能性も考えられるため、安易に運び出すことができません。検体を運ぶ場合、冷蔵保存や梱包方法など、決められた条件を遵守しなければなりません。条件がクリアできるようであれば、対応することも視野に入れていきたいと考えています。
ー陰性の場合、証明書を発行することもできるのでしょうか。
現時点では証明書等の発行はしていませんが、留学や学外での実習の受け入れ先に提出を求められるといったニーズがあるのは承知していますので、将来的には発行することを検討しています。
――コロナ禍がおさまったら、PCR検査センターはどうされるのでしょうか。
本センターは開所後5年間の運用を予定しています。今後、新型コロナウイルスのワクチン開発や普及が進み、インフルエンザ等の感染症と同様の位置づけになっていれば、発展的に解消する可能性も考えられます。
■学生の学び・研究面での連携について
――生命科学部・研究科との連携も視野に入れておられるのでしょうか。
島津製作所との協定では、教育・研究面の連携協力も含まれています。生命科学部・研究科の教員と島津製作所との間で、今後連携について具体的な話が出てくるのではないかと思います。
■「官」との連携について
――「産学公」の連携とのことですが、行政(京都府・京都市)とはどのような連携をしていくのでしょうか。
陽性者が出た場合には、京都市と連携しながら対応に当たっていくことになります。また、検査体制が整えば、行政の要請に応じて、外部からの検査を受け入れることも検討しています。
■おわりに
――PCR検査センターに配属と内示がでたときはどう思われましたか。
正直、驚きました。まさか自分が担当することになるとは思ってもいませんでしたが、やるしかない、という気持ちでした。自分自身が新型コロナウイルスに関わる業務に就くことへの不安も正直なところありましたが、学生や学生の父母等、学内外からの前向きで温かい声を受けて、学生が安心・安全な環境で検査を受けられるよう、尽力していきたいと考えています。
――学内にPCR検査センターを設置されたことでの反響は大きいと思います。今後の展望を教えてください。
地方から来ている学生の父母等から多くの問い合わせがあり、 大学にこのようなセンターがあることで安心できるという声もいただき、 本センターを設置した意義を感じています。また、他大学からも多くの質問をいただき、学内に同様のセンターを作りたいといったヒアリングに来られることもあります。大学以外にも、民間企業からご相談をいただくこともあります。
――最後に今後の展望を教えてください。
まずは、学内でのPCR検査を確実かつ安全に実施できるように努め、1日40件のところを80件、120件と伸ばしていくことを目標に考えています。学生のみなさんには、PCR検査を通して、感染予防に対する一人一人の日ごろの意識や行動が変わっていくことに期待したいと考えています。また本取組を通して、「大学のまち京都」での地域貢献も果たしていければと思います。