「加盟校レポート」20 佛教大学通信教育課程 夏の祭典「夏の夕涼み会」
■はじめに
今回は、佛教大学教育推進課水谷さんより、全国の通信教育課程の学生が佛教大学紫野キャンパスに一堂に会する、「第32回夏の祭典『夏の夕涼み会』」をご紹介いただきました。
佛教大学通信教育課程は、1953(昭和28)年に関西で最初の通信制大学としてスタートし、全国各地の様々な背景を持つ方々の学びの場として60年以上の歴史と実績を誇ります。
「通信教育」と聞くと、一人で黙々と学んでいくという姿をイメージしますが、佛教大学では、通信教育課程の学生による学友会組織が確立しています。
現在、全国10ブロックに43支部があり、オリエンテーションやガイダンス、親睦会、学習会など様々なイベントを企画、運営されているとのことです。
中でも最大のイベントが夏期スクーリング期間中に行われる夏の祭典「夏の夕涼み会」。
今年は、8月5日(土)の18:00から行われると伺い、教まちやスタッフは早速取材に行ってまいりました。
■学友会主催 第32回 夏の祭典「夏の夕涼み会」
場所は、佛教大学紫野キャンパス1号館の地下カフェテリア。
入口を抜けると、黄色いはっぴを羽織った方々が準備をされていました。聞けばすべて学友会の役員の方々が運営されているとのこと。
開始時刻が近づくと、スクーリングを終えた学生や先生方が続々と集まってこられました。
司会のよく通る声で開会され、すぐにスペシャルゲストとして佛教大学のマスコットキャラクター「ぶったん」が登場し、会場は大盛り上がり。「ぶったん」との撮影会が始まりました。
その後、山下 浩美 学友会長から開会挨拶があり、中原 健二 副学長による乾杯挨拶のあと、学生同士の交流の時間となりました。
集まった学生は年齢層も幅広く、先生を囲んで質問をしたり、学生同士で近況を報告し合うなど懇親を深めておられました。
そして、いよいよビンゴ大会。全国に支部があるということで、各支部から地元の名産品が景品として提供されました。
最後に、藤松 素子 生涯学習機構長から閉会の挨拶がなされ、夏の学友会一大イベントが終了しました。
終了後、山下学友会会長と事務担当の桝井さんにイベントの裏側についてお話を伺いました。
■約10,000人が学ぶ佛教大学通信教育課程
事務局:貴学の通信教育課程についてお伺いいたします。
桝井さん:本学の通信教育課程は、昭和28年に関西で初の通信制大学として開設されました。通学課程のほぼすべての学部・研究科を通信教育課程として開設しており、これらに加えて、幼稚園~小中高の教員免許状や博物館学芸員資格、社会教育主事資格など各種資格に特化した課程本科等を設置しています。
教員は、通学課程と同じ教員が担当しており、通学課程と変わりない質の高い授業を提供しています。現在では、18歳から93歳までの幅広い年齢層の学生が日本全国各地で学ばれています。
サポート体制も充実させており、学内に学習相談室を設置して専門の相談員が相談に応じるほか、全国10ブロックに、学習サポーターを配置しています。この学習サポーターは卒業生が担ってくれています。
■「夏の祭典」など多彩な学友会活動
事務局:学友会はいつ設立されたのですか。
桝井さん:学友会も通信教育課程開設と同じ年に設立されました。
事務局:設立は大学側からの働きかけですか?
桝井さん:いえ、当時の学生が自主的に作られました。今では大学進学率が上昇しましたが、当時は大学に進学されていない方も数多くおられました。「通学課程の大学には通えなかったけれども絶対大学を卒業したい!」という方々に本学を選んでいただき、「学生同士で親睦・融和を深め、切磋琢磨し合う環境を作りたい」という熱い思いを同じくした学生たちが集まり作られました。その思いは、どんどん拡大し、今や全国10ブロック、43支部を擁するまでに至りました。
事務局:どのような活動をされているのですか?
桝井さん:各支部では、学習を円滑に進めていくためのオリエンテーションやガイダンス、親睦会、学習サポーターとの協力による個別学習相談、また、学生の発案・運営により本学教員が出講する教科学習会などが開催されています。
山下会長:内容は、その時代にあわせながら工夫を重ねています。今年は、学生らしく食事も喜んでもらおうと、おいしい料理をいただきながら、学習の悩みなど気軽に話してもらおう、もっと懇親を深めてもらおうと企画しました。
事務局:企画はどのように行われているのですか?
山下会長:全国10ブロックのブロック長が集まり役員会を組織しています。本日、はっぴを着ていたのが役員のメンバーです。役員会には様々な部隊を設けており、「夏の祭典」などは「企画部」が企画検討します。6月には、広報を行うため、4月の学期初めから約2ヵ月間しか期間がなく、更に実際に企業等で働いているメンバーもおり、実質的には非常に短い期間で企画しなければなりませんが、みな意欲的に取り組み、毎年いい企画が提供できています。ただ、やはり毎年改善していくことが重要なので、イベント終了後には反省会を行い、次に生かしています。
■助け合える環境、切磋琢磨し合える環境の確立
事務局:通信教育はその特性上、なかなか横のつながりを作りにくいと思うのですが、貴学の通信教育課程では横のつながりを作る体制がしっかりとできています。
山下会長:「みんなで頑張っていきたい」という思いの強い方が集まっているように思います。働きながら学ぶ人も多く、一人だけで頑張ることはなかなか難しいものです。
私も、最初は何もわからなかったのですが、個別学習相談で学習サポーターだけでなく他の学生からもいろいろと助言をもらい、非常に助かりました。また、事務局の方々にも親切にしていただきました。学友会を通して他学部の学生とつながることができ、今では、「この本、すごく役に立つから読んでみて」などと本を紹介し合うなど、学んでいることを交換し合う中で、多くのことを学ばせてもらっています。以前の私のように悩んでいる方も多いと思うので、これほどきちんとした組織、サポート体制があるのだから是非積極的に活用してもらいたい。「通信教育でも助け合えるんだ」「切磋琢磨し合えるんだ」ということを一人でも多くの人に知ってもらいたい。「夏の祭典」をそのきっかけにしてもらえればという思いでいます。
しかし実際には京都に出てくるのが難しい方も多く、一人でも多くの方に学友会の活動を知ってもらえたらと「支部通信」の発行や、「佛大通信」での告知、また一斉メールなど広報活動にも力を入れています。
それでも情報が行き届いているとは言えず、実際に退学される人もおられると聞いています。押しつけになってはいけませんが、何も知らずに退学というのはあまりに残念なことなので、何とかして一人でも多くの方に学友会の取り組みを届けたい。今後の大きな課題です。
■取材を終えて
さらに、「自分が学んでよかったことを人に伝えたい」、「困っている人を助けたい」とおっしゃる山下会長のお話は非常に熱がこもり、どんどん引き込まれついつい時間をわすれてしまいました。教まちやスタッフは、通信教育課程という特性の中で、これほど強固な学友会組織が確立していることに驚きを感じました。今回参加したイベントでも、普段はなかなか直接質問できない先生にたくさん質問をされ、また、学生同士での会話では世間話だけでなく、学習面の相談・アドバイス、また議論も活発に交わされていました。学部を越え学生同士でサポートし合い、切磋琢磨しながら学問を追及している姿は、一般の大学でどこまで見られるでしょうか。学生の学修態度に関する課題が指摘される中、現在進められている「高大接続システム改革」で挙げられている育むべき3つの学力の一つとして「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」が挙げられていますが、山下会長の話を伺いながら、通信教育課程の学生の姿は正にこれと合致しているように感じました。生涯学習講座もそうですが、こうして熱心に学び合う社会人の姿は「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の醸成のヒントになるかもしれません。
そして山下会長は度々、「事務局の丁寧な支えのおかげ」と述べられており、事務局の熱心なサポートがあることも、しっかりした学友会組織の確立に繋がっているのだと思います。
最後になりますが、お疲れのところ、快く取材にご協力いただきました山下様、桝井様、誠にありがとうございました。
▼佛教大学通信教育課程のHPはこちら
http://tsushin.bukkyo-u.ac.jp/以上、「加盟校レポート」佛教大学編をお送りました。