京都ノートルダム女子大学「メタバースを利用した高等学校との連携授業」のご紹介
利用プラットフォーム:Metalife
こんにちは。教まちや事務局です。今回は、京都ノートルダム女子大学の「メタバースを利用した高等学校との連携授業」についてご紹介いただきました。
京都ノートルダム女子大学では、キリスト教精神による女性の教育と「徳と知(Virtus et Scientia)」を兼ね備えた女性を育成することを建学の精神としています。ひとりひとりの学生に向き合う丁寧な教育、学生支援と、女性の立場からキャリアを考えるライフキャリア教育に力を入れています。今回は高等学校との「キャリア教育」の連携授業の1つを是非ご覧ください。
執筆者:京都ノートルダム女子大学 戦略企画室 企画広報課 課長 長野 留三子 氏
■高大連携授業 × メタバース
京都ノートルダム女子大学の高大連携の取組は、2022年度までは連携校を対象に実施していました。「大学授業の一日体験」や「情報教育入門編」など内容は多岐に渡りますが、その中でも高校生が「主体的に“私らしい未来”を創造すること」を目的としたキャリア教育授業が高い評価を受けていました。
2022年度から高等学校で新たに『総合的な探究の時間』が必修科目となったことをきっかけに、これら「キャリア教育」の連携授業でより幅広く高等学校と連携できるのではないかと考え、高等学校へのプラン提案を始めました。
京都府立大江高等学校(校長:溝口 睦久 氏、所在地:京都府福知山市大江町)との連携授業は、2023年3月に開催された Synergy Link Kyoto(主催:一般社団法人京都知恵産業の森)を機に始まりました。本学が出展したメタバースサークル主催の学内交流イベント展示が、大江高等学校 経営情報系統長の小西正樹教諭の目に留まったのです。
写真:Synergy Link Kyoto展示ブースの様子
京都府立大江高等学校は、2019年度よりスマートスクール推進校としてICT機器を活用した授業づくりを実践しています。2022年度からはBYODを導入、情報端末を使用した学習をすすめています。また、京都府教育委員会指定の「地域創生推進校」でもあり、地域創生科では「情報を活用して地域創生に取り組む力をつける」ことを目指しています。
小西教諭より「地域創生科の生徒が、新しいコミュニケーションプラットフォームとしてメタバースを活用して地域創生により関心を持つ取組ができないか」というご相談をいただき、本学のメタバースサークルの学生6名と担当教員で連携授業のイベント企画運営に臨みました。
■大江高等学校 地域創生学科の生徒と「地域」をキーワードに交流
コロナ禍を機に、社会人のみならず高校生や大学生にも ZOOMなどのオンラインコミュニケーションが浸透したのと同時に、多様なツールを使い分けるスキルが求められるようになってきました。今回のイベントで使用するメタバースは「アバター」という自分の分身でコミュニケーションをすることが特徴で、自分の顔を常時映すことに比べて精神的にも肉体的にもライトにコミュニケーションをとることができます。
メタバースはこれからますます発展するはずです。大江高等学校の生徒には、地方出身の本学学生の地元紹介をメタバース空間で聞くことで、メタバースを使った地域創生の可能性を探ってもらうことを目指しました。
このイベントは、進行役の大学生が大江高等学校に行かずにメタバース空間上で参加するため、操作方法がわからない生徒一人ひとりをじっくりフォローすることができません。当日想定されるトラブルを極力減らすため、オリジナルの操作説明動画をサークルメンバーで制作し、高等学校側に事前に周知しました。飽きさせないようなテンポの良い進行も心掛けました。
写真:手作りの操作説明動画
利用プラットフォーム:MetaLife
イベント当日は大江高等学校の生徒9名と本学の学生6名がオンラインで参加しました。生徒を3グループに分け、「アバター」を使って交流がスタート。大学生は「地方から本学に入学した今だからこそ感じる地元の良さ」を語りました。高校生は大江町の鬼伝説を紹介する、大学生活の様子を聞くなど、遠く離れた場所でもアバターを介してコミュニケーションをとれることに大いに興味関心を持ち、参加者アンケートには好意的なコメントが多く寄せられました。
写真:大江高等学校との連携授業の様子
■メタバース活用の可能性 ~今後の展望~
時空を超えるメタバースを活用し、高校生と大学生双方の質の高い学びを生み出す取組に、多くの進路指導担当の先生が関心を持たれています。とりわけ多様な学習方法を提供している通信制高等学校とは親和性が高く、いくつかの通信制高等学校と連携授業の企画を進めています。
また、コロナ禍からオンラインでのオープンキャンパスが当たり前となりましたが、高校生が学生との交流をより実感できるよう、メタバース上のファンミーティング形式オープンキャンパスを企画しており、ヴァーチャルの世界からリアルなオープンキャンパスへの参加動機形成に繋げていくことも検討中です。
前述の大江高等学校とも2回目の連携授業の話が進行しており、メタバースの活用機会が広がっていくことに大きな期待を持っています。