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SDGsレポート第5回:京都精華大学
「違いとともに成長する社会の実現をめざして」

2021 / 9 / 22 / 水
京都精華大学

こんにちは。教まちや事務局です。大学コンソーシアム京都加盟校の、SDGsに関する取り組みを紹介する「SDGsレポート」第5回です。
今回ご紹介するのは、京都精華大学での取り組みです。京都精華大学では、様々な差異を持つ全ての大学構成員が尊重され、人格的に平等であることを教育の基本とされています。
2020年12月には、新たに「京都精華大学SDGs宣言」を発表され、すべての人の違いを尊重しながら、「誰一人取り残さない」持続可能な社会の構築に貢献するために、全学的にSDGsの実現に向けて取り組んでおられます。
教育・研究、大学運営を通したSDGs実現に向けての取り組みを、是非ご覧ください。

執筆者:学校法人京都精華大学 経営企画グループ 舟津 潤 氏

京都精華大学の教育の基本方針には、日本国憲法、教育基本法、世界人権宣言との共通理念である「人間の尊重」、そして「自由自治」を教育の基本理念とすることが明記されています。2016年に発表したダイバーシティ推進宣言の中でその基本的な考え方を改めて表明し、翌年にはダイバーシティ推進センターを設立。さらに2018年には、より明確なコンセプトと活動方針を盛り込んだ「ダイバーシティ推進宣言2018」を発表し、学内すべての学生・教員・職員に包摂的なキャンパスを目指してきました。
本学の教育理念とダイバーシティ推進コンセプト「違いとともに成長する」は、「誰一人取り残さない」というSDGsの趣旨と根本を同じくするものであるという考えから、2020年12月にSDGs宣言を発表し、全学的に教育・研究、大学運営を通したSDGsの実現に向けて取り組むこととしています。
様々な取り組みのうち、SDGs宣言前からの取り組みも含め、特徴的な取り組みについてご紹介します。

 【京都精華大学SDGs宣言】https://www.kyoto-seika.ac.jp/about/kt5ohn0000006s8i-att/SDGs.pdf
 【京都精華大学ダイバーシティの取り組み】https://www.kyoto-seika.ac.jp/about/diversity.html 

■「ジェンダー平等」実現に向けた学内環境・体制の改善
本学は、2013年から性別違和や健康上の事情を抱える人を対象とした専用の時間帯を健康診断に設定しています。また、2016年には性別違和や通称名使用などの事由による学籍簿の氏名・性別変更を認め、教職員の就業規則における特別休暇や弔慰金の対象となる配偶者について同性婚などのパートナーまで拡大しています。2017年からは大学で発行するすべての証明書について性別の記載をなくしました。
だれでも使用できる「みんなのトイレ」を学内24カ所に設置しています。また、学内の5つの建物のトイレ内にチャイルドシートとおむつ替えシートを設置しています。みんなのトイレのピクトグラムは、本学デザイン学部の学生がデザインし、デザイン学部教員も交えた学生、教職員による意見交換会を経て完成したものです。
2021年から、学内のトイレで生理用品を無償提供する環境整備にも取り組んでいます。


■「みんなに質の高い教育」を提供するための障害学生支援

本学では開学間もない1970年代から障害学生の学習支援に取り組んでいます。
現在は、聴覚障害学生向けにノートテイク、パソコンテイク、映像教材文字起こし、字幕付け、手話通訳、視覚障害学生向けにテキストデータ化、ガイドヘルプ、教科書・授業レジュメ、試験問題の点訳、対面朗読、レジュメの拡大コピー、肢体不自由学生向けに車両の入構および駐車許可、履修登録した授業科目について教室変更の配慮や専用机の配置、代筆など必要に応じた授業サポート、発達障害、精神障害、病弱・虚弱学生に対する面談等のサポートなどに取り組んでいます。加えて、図書館では展示資料のほか、音声・点字対応パソコン、音声読み上げ設備、拡大機を設置した点字図書室を設置しています。
2018年には、「障害学生支援に関する基本方針」を発表しました。
【障害学生支援】https://www.kyoto-seika.ac.jp/campuslife/s_support.html 

■「みんなに質の高い教育」を提供するためのグローバルビジョンの実現
本学は2018年に、「世界中の人々が集まるなかで、多様性を備えた交流や学問を通じて、世界のあらゆる分野で「共創」できる人材を輩出することにより、世界に開かれ、そして世界を変えていく大学になることを目指す」ためのグローバルビジョンを策定しました。このビジョンは、留学生受け入れの強化と支援体制の充実、学生の国外派遣の充実と拡充、教育・研究活動の国際化、キャンパスの国際化の強化と交流拠点の充実、大学院教育・研究教育の国際化をもって構成されており、現在本学では、このビジョンの実現に向け、入試制度においてはほぼすべての入試を外国人留学生も受験できるように範囲を広げ、外国人留学生向け奨学金の充実、外国人留学生向けの寮の再整備などをすでに実施しました。さらに多様な学生がともに学ぶラーニングコモンズを広く確保した校舎「明窓館」を2021年度完成に向け、建築中です。
【京都精華大学グローバルビジョン】https://www.kyoto-seika.ac.jp/about/idea/gjh1lq00000028q8-att/Seika_Global_Vision2018-2020.pdf 


■「気候変動」と「陸の豊かさ」のための環境への取り組み

環境への取り組みとして、2000年に日本の大学でははじめて環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得し、環境負荷の大きな大学運営におけるさまざまな面での改善に取り組んできました。2012年には一定の成果を得たことから自己宣言へ切り替え、引き続き、廃棄物の削減や節電、環境負荷の大きな画材の使用を控えるとともに、排水がキャンパス外へ出る際に有害な物質を取り除いてから出されるような構造を設けるなどの環境活動に取り組んでいます。
【環境保全と安全確保の取り組み】https://www.kyoto-seika.ac.jp/campuslife/security.html 

■社会に開かれた啓発イベントの実施
2018年度に、LGBTQをはじめとするマイノリティの社会包摂を視野に入れたアートマネジメント・プロフェッショナル育成事業「芸術実践と人権 ― マイノリティ、公平性、合意について」が文化庁の大学における文化芸術推進事業に採択されました。社会における性的マイノリティをとりまく課題を共有し、クリエイティブに解決する方策を模索する公開レクチャーシリーズを2020年度まで実施し、2021年度からは表現倫理のリテラシーを備えたアートマネジメント人材育成プログラムがスタートします。
また、「その人がその人としていられる社会と表現」「ステレオタイプの危険性」「日本におけるブラック・ライヴズ・マター(黒人の命を尊重しろ)運動を考える)」といった各種公開講演会など、SDGs、ダイバーシティに関連したさまざまな啓発活動を学内外に向けて広く実施しています。


■包摂的なキャンパスづくりのための調査と研修

学内の学生や教職員のダイバーシティ推進に対する認知度やニーズを確認し将来的な施策に生かすための全学的な調査を、2017年から形を変えながら継続的に実施しています。また、学内構成員間のコミュニケーションにおいて、配慮が必要な点について教職員が理解するための「ダイバーシティを考慮した学生指導・学内コミュニケーションガイド」を作成し、全教職員に配信しています。
「働き方とインクルージョンについて」「なぜ今、セイカでSDGsに取り組むのか?」「セイカの教育とSDGsの可能性」といったFD/SD研修を実施し、本学の課題を理解し本学の教育・研究を通してSDGsにどう貢献できるのかを教職員が考えるための機会を創出しています。

■「違いとともに成長する」大学を目指した交流活性化
「誰一人取り残さない」ためには、制度や環境整備だけではなく、人間の多様さに触れる交流の機会を増やし、違いを理解しようとするプロセスで生まれる「価値観の変化」や「他者への想像力」の醸成こそが重要であり、それが構成員全体の創造性を高めると本学では考えています。約3割の学生が外国人留学生という環境を生かして外国人留学生と各国の料理を調理しながら異文化を理解するイベントを実施したほか、民族文化を体験するイベント、映画を通して世界の多様性や地球環境について学ぶ映画観賞会、異なるルーツや文化を持つ人々の共生社会について考えるオンラインディスカッションなど、様々なアプローチから交流しながら学ぶ機会を提供しています。

その他、本学のSDGsに関する取り組みは以下のサイトでご紹介しています。
【SDGsの取り組み】https://www.kyoto-seika.ac.jp/about/sdgs.html

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