「加盟校レポート」9 佛教大学 紫野キャンパス 新1号館:佛教大学 松本真治先生
■開学100周年記念事業
こんにちは。教まちや事務局です。
今回は、大学コンソーシアム京都でFD企画研究運営委員の先生方にご紹介いただく「加盟校レポート」シリーズ第9弾です。
佛教大学 学生支援機構長、文学部教授 松本真治先生に、この春完成した紫野キャンパス新1号館についてご紹介いただきます。
特にきれいなトイレは担当者の意気込みもあいまって、今までの大学トイレのイメージを一変させたといっても過言ではないかもしれません。
今回、松本先生と「教まちや」事務局スタッフの取材にご協力いただいたのは、施設部施設課課長の藤原さんです。
それでは松本先生宜しくお願いします。
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こんにちは。佛教大学の松本です。
本学は2012年に開学100周年を迎えました。その記念事業として2010年4月に仏教学部仏教学科、文学部日本文学科、歴史学部歴史学科・歴史文化学科を開設、2011年4月に二条キャンパスの開設、そして、今回ご紹介する紫野キャンパスの整備があります。
紫野キャンパスの整備について佛教大学開学100周年記念サイトでは、以下のように紹介しております。
「紫野キャンパスの整備 – 伝統ある知の集積拠点として –教育環境の向上をめざし、平成20年度から紫野キャンパスを6ヵ年計画で改修整備します。改修の目標として次の4点を掲げています。
1.紫野キャンパスの自然環境を活かした、キャンパスアメニティーを醸し出します。
2.建学の精神の具現化のシンボルとして礼拝堂(らいはいどう)を建築し、「身と心を癒すキャンパス」の要とします。
3.少人数教育や情報教育、専門教育など教育施設や福利厚生施設の更なる充実など、学生生活に快適な学習環境を構築します。
4.動線を考慮し、コミュニケーションが図れる適切な空間、事務室などを配置し、学生支援体制の充実を目指します。」
このように、大学としてのキャンパスの機能性はもちろんのこと、以前は少ないと指摘されていた学生の憩いの場としてのスペースを設けることが重視されました。
■学生の居住性を意識した建物づくり
それでは早速1号館へ入ってみましょう。
館内に入ると、1階は通信教育課程事務局を中心としたオフィススペースが現れます。大きなガラス越しの事務室は開放感があり、とても明るく見えます。なお、2階は学生の動線を意識して同じフロアで完結するように、学生支援系部署をまとめるように設計されました。(礼拝堂及び北校地の地面が1号館の2階と同じレベル)
続いてエレベーターに乗り新館最上階となる5階へ移動します。(ちなみにこのエレベーター、乗り心地がとても快適です。早くて静かなのはもちろん、BGM、空気清浄機能も完備されています。)
1号館の3階~5階までは教室フロアになっています。特徴はフロア中央部が5層にわたって吹き抜けでトップライトのある階段です。明るく、やはり開放感があり、広さを感じます。
ここで、5階にある面白い設備をご紹介したいと思います。少し広めのホールのような通路エリアの真ん中にカウンターが設置されています。
これは実は、筆洗い場なのです。通信教育課程の学生を対象とした図工の講座の際に利用されるのですが、普段はシンク部分にふたをしてカウンターとして利用しています。そのため、照明も手元を照らすように調整がされています。
この新館ですが、学生の憩いの場や自習等ができるラウンジスペースが設けられています。
そのうちの1つとして、畳のスペースがあります。こちらはオープンするやいなや、学生から人気です。やはり居心地がよい印象を与えるのでしょう。
先生によってはこの畳を利用してゼミやグループワークを行っているとのこと。普段と違う環境で、勉学への意欲増進そして、斬新な発想が期待できそうです。
畳以外にもフローリングスペースやちゃぶ台もあります。
別のフロアには情報検索スペースがあります。
ドアも間仕切もないオープンスペースで気軽に入れそうな雰囲気です。
取材時もたくさんの学生が利用していました。
そして、新館の3階に降りてきますと、とある入口が見えます。
その先には屋上庭園があります。
コミュニケーション空間を多く設け、学生の憩いの場の1つとして屋上庭園を確保しました。これだけスペースがあればどこにいこうか毎日悩みますね。学生の滞在時間も増えそうです。ちなみに取材当日は、この景色を活かして、屋上庭園で大学案内に掲載するモデル撮影が行われていました。
続いて、地階へまいりましょう。広いカフェテリアがあります。佛教大学のシンボルマークのカラーを意識した椅子がとてもカラフルでおしゃれです。
カフェテリアと同じ地階には音楽室があり、扉もシンボルマークのカラーを意識して部屋ごとに違います。またこの扉のデザインはよく見ると、ピアノの鍵盤であったり、音符であったりします。
とても遊び心があります。このフロアマップには楽譜があり、なんと扉の楽譜を数字順にたどっていくと学歌になるようにデザインされているとのこと。単に建物を造るのではなく、とても温かく有機的な空間にすら感じてきました。
■いよいよトイレへ
このようにこの館内は教室、実験実習室、情報実習室、事務室、カフェテリア、そしてコミュニケーション空間と実にさまざまな機能を持つのですが、さらに特徴的なのが冒頭で述べたトイレなのです。まずは以下の写真をご覧ください。
続いての写真は男子トイレです。
全てのトイレはそれぞれ異なるデザインによって作られています。
空調も完備され、なんとヒーリング系のBGMも流されています。これだけ綺麗だと思わず長居してしまうのではと思うのですが、女性トイレでは利用者が滞留してしまわないように、トイレ、手洗い、パウダーコーナー、歯磨き台と機能を場所で分けて、さらに手洗いにはあえて鏡を設置しないなど、人の流れについても意識して工夫がなされました。
■きれいなトイレあるところに学問あり
佛教大学の松本先生、施設部施設課課長の藤原さん、ありがとうございました。
トイレがきれいなところに運気ありといいますが、トイレはその人、その組織そのものを表すと思います。トイレが汚いと人は集まりませんし、憩いの場にもなりません。飲食店ではよく言われる話ですが、トイレがきれいだと人が集まり、憩いの場になります。料理だって美味しく感じるものです。大学においては学びの場と置き換えられるのではないでしょうか。
「たかがトイレされどトイレ。全員が必ず使うものだから、大事にしたい。」担当者の言葉が強く印象に残りました。大学から学生への「おもてなし」なのかもしれませんね。
以上、加盟校レポート:佛教大学編をお送りしました。