「スタッフレポート」10:大谷大学教育後援会文芸奨励賞
■大谷大学独自の奨学金
こんにちは。教まちや事務局です。
大学コンソーシアム京都加盟校の職員の方にリレー形式でレポートをしていただく「スタッフレポート」大谷大学編です。
今回は、大谷大学の植島さんに「大谷大学教育後援会文芸奨励賞」について、ご紹介いただきます。
大学には様々な奨学金制度がありますが、今回ご紹介いただく奨学金制度はいったいどのようなものなのでしょうか。
それでは、植島さん、よろしくお願いします!
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大谷大学学生支援課奨学金担当の植島と申します。SDゼミナール(大学コンソーシアム京都主催)でお世話になった同期生、京都外国語大学の井ノ口さんにご紹介いただき、「スタッフレポート」を寄稿させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
今回、大谷大学からのレポートでは、本学の奨学金制度の中で、おそらく他大学には見られないと思われる奨学金について紹介いたします。本学は、学部・短期大学部・大学院合わせて約3,300名規模の大学ですが、14もの本学独自の奨学金があり、そのほとんどが給付制です。その中で、本学学生の保護者で構成される大谷大学教育後援会を原資とした「大谷大学教育後援会文芸奨励賞」(以下、「文芸奨励賞」)という奨学金(奨励金)があります。
文芸奨励賞は、言葉による表現意欲を奨励することを目的とし、2006年に創設した奨励金です。本学学生からテーマに則った50字以内の日本語表現による文芸作品を募集し、優秀な作品を投稿した学生に奨励金を給付します。出願方法は、学内にある応募BOXに作品を書いた応募用紙を投函するだけで、その応募のしやすさから本学学生の間では知名度の高い奨学金のひとつとなっています。おおよそ夏期休暇前に募集テーマを学内で公表し、後期授業が始まる9月中旬から約1か月程度の期間に作品募集をします。
2017年度については、募集テーマは「Be Real」。2017年4月に公表した、本学を象徴する新メッセージがテーマとして選ばれました。「Be Real」とは、真実を立脚地として、世の中の現実を生きていこうという態度を表す言葉であり、また、世の中の現実に向きあいながら真理を探究していこうという姿勢を表す言葉です。本学学生がそれぞれに受け止めた「Be Real」を表現してほしいと願って募集したところ、221編もの応募がありました。理想と現実とのギャップの苦しみ、社会へと羽ばたく現在の自分への期待、何気ない日常からの気付きなど、学生ゆえの若さに溢れた作品の数々から最終的に13名の受賞作品を選びました。
そして11月下旬に証書授与式を挙行しますが、挙行後は会場を移して、受賞者・教育後援会・選考委員(教員)を交えた講評懇談会を開催しています。受賞者一人ひとりから作品発表と作品に対しての思いや経緯が語られ、選者から作品への講評が行われます。質疑応答の際には教員や学生から様々な質問が出て、例年和やかな雰囲気の会となっています。私も担当者として講評懇談会に出席していますが、50字に込められた学生の思いは私が想像していたよりもはるかに豊かで深く、毎年新鮮な驚きを受けるとともに感心しています。
■2017年度最優秀賞受賞作品
ここで、2017年度最優秀賞を受賞した作品を紹介いたします。
あなたとわたしは同じ人間じゃないが。
あなたとわたしは同じ、人間じゃないか。
点一つで、人は変わる。
作者の学生は、以下の通り言葉の捉え方や作品への思いを述べています。
「BeReal」とは人間や社会を表すことばで、「寄りそう知性」は平等であろうとする意志だと考えました。作品はことば遊びになっているのですが、私たちが「同じ人間」であるか否かは意識の問題であり、同じ人間であれば世の中の問題は解決できるはずだ、という想いをこめています。(引用:『2019 CAMPUS LIFE』「Be Real 寄りそう知性」p.1)
選者からは「たった1文字と点1つ。その差の内にこれだけの意味を込めることができる。言葉に対する鋭敏な感覚が、他者へ向けた真摯な視線へと繋がっている。言葉の力を感じさせる作品である」と評されました。
教育後援会会長は、証書授与式での挨拶にて「言葉は人を慰め励ます力を持っている。辛い思いをしている人に手を差し伸べられるような優しい言葉をかけられる人になってほしい」と述べました。文芸奨励賞は、言葉の強さ・大切さについて作品制作を通して学生に改めて考えてもらう機会であり、それは文科の大学として非常に大きな意義をもつものだと考えています。
その他の受賞作品は本学ホームページ(http://www.otani.ac.jp/kouyuu/nab3mq000005h9ng.html)で公開していますので、ぜひご覧ください。
なお、2018年度のテーマは「ここにある’’Real’’」です。学生はいったいどのような’’Real’’を表現してくれるのでしょうか。私も担当者としてとても楽しみです。文芸奨励賞が本学学生の豊かな自己表現力を発揮する場となることを願っています。
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植島さん、ありがとうございました!
ご紹介の冒頭にもあるように他大学ではあまり例を見ない奨学金(奨励金)でしたね。
一般的に奨学金は、経済状況や学業成績などの複数の申請書類をもとに給付の審査が行われるイメージですが、この「文芸奨励賞」はわずか50字の作品で給付の審査が行われています。
学生さんにとっては応募しやすい奨学金だということですが、むしろ、50字しかないからこそ非常に重みのある奨学金なのではないのかなと、感じました。
また、2017年度だけでなく、創設2006年度以降の「文芸奨励賞」入賞作品が下記大谷大学ホームページからご覧いただけます。
http://www.otani.ac.jp/kouyuu/nab3mq0000011qrx.html
同じテーマで50字という制約の中でも、異なった雰囲気の作品が並んでいます。学生さんたちの感性に圧倒されてしまいました。
今年度も作品発表が楽しみですね。
皆さんもぜひ結果を大谷大学のホームページでチェックしてください!!
以上、「スタッフレポート」大谷大学編をお送りしました。