「スタッフレポート」9:京都外国語大学「外国語自律学習支援室NINJA」
■NINJAふたたび!
こんにちは。教まちや事務局です。
今回は、大学コンソーシアム京都加盟校の職員の方にリレー形式でレポートをしていただく「スタッフレポート」京都外国語大学編です。
今回、京都外国語大学の井ノ口さんにご紹介いただくのは、「外国語自律学習支援室NINJA」です。
実は、教まちや事務局では開設当初の2014年に取材をさせていただいていました。
2014年7月 京都外国語大学「NINJA」①
2014年7月 京都外国語大学「NINJA」②
昨年2017年、場所を移してリニューアルオープンをされたそうですが、現在の「外国語自律学習支援室NINJA」は一体どのように進化しているのでしょうか。
それでは井ノ口さん、よろしくお願いします!
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京都外国語大学ランゲージセンター外国語自律学習支援室NINJAの井ノ口です。SDゼミナール(大学コンソーシアム京都主催)の先輩である花園大学の佐藤さんからのご紹介を受け、今回寄稿させていただくことになりました!
本学の施設紹介として、私が担当している「外国語自律学習支援室NINJA」(以下、NINJA)を紹介させていただきます。
■NINJAとは
NINJAは、授業外における外国語学習を支援するために2014年度に開設された施設で、教職員および学生スタッフの協働で運営をおこなっています。
昨年9月、キャンパスの真ん中に位置する4号館が新しくなり、その1階中央部分にNINJAもリニューアルオープンをしました。東西南北すべてガラス張りで、各教室棟に向かう動線上にあることから、常に学生が行き来する、活気のある空間になっています。
NINJAの名前は、「Navigating an Independent Non-stop Journey to Autonomy」の頭文字からできており、キーワードは「Autonomy(自律)」です。NINJAのミッションは、「学習者誰もが自律学習者になるための能力を備えているということに対する『気づき』を、学習者に与えること」です。
そのミッションを達成するために、「セッション」と呼ばれる3つの予約制のサービスを提供しています。それぞれを簡単にご紹介すると…
一つ目は、「アドバイジングセッション」という個別学習相談です。日本人または外国人教員が「ラーニングアドバイザー」となり、一人一人の学生の外国語学習の悩みを聞き取ります。1回40分間なので、じっくりと学生の話に耳を傾け、学生と一緒に学習目標や計画を作成します。
二つ目は、英語の「スピーキング&ライティングセッション」です。スピーチや資格試験の面接対策から、より良い英作文を書くためのアドバイスまで、学生のニーズに合わせてさまざまな支援を提供します。
三つ目は、留学生スタッフとマンツーマンで多言語の会話練習ができる「Have a Chat」です。このセッションを実際に担当している、留学生スタッフに説明をお願いしたところ、下記のように説明をしてくれました。
「『Have a Chat』 とは、様々な国から来た日本語を勉強中の留学生と楽しく、好きな言語で自由に話せる20分のチャット(おしゃべり)です。学生相手なので安心で、外国語を間違えても問題なく、会話をしながら勉強もできます。お互いに意見を交換できるので、留学生にも楽しい活動です。バックグラウンドが違うので、相手の国の文化や独自の経験をたくさん教えてもらえます。さらに、自分が好きなトピックをネイティブと楽に話すことができ、授業であまり見つけられない機会です。(ほぼ原文のまま)」
■NINJA Peer Advisors (P.A.)
NINJAの運営に関わる学生スタッフは、Peer Advisor(以下、P.A.)と呼ばれ、日本人学生と留学生のスタッフで構成されています。
先述の通り、本施設は自律学習者の育成を目的としているため、P.A.にも主体的かつ自律的にNINJAの運営に関わってもらっています。複数のプロジェクトチームがあり、広報活動やイベント企画を通して、学生にとって魅力のある施設作りに取り組んでいます。
日本人にも留学生にも役に立つ外国語情報の提供として、週替わりで多言語フレーズを紹介するコーナーや、通りがかりの学生も巻き込む参加型プロジェクトのコーナーなど、毎月ユニークなプロジェクトが実施されています。
■実践的に外国語を使えるイベント
6月には、P.A.企画の昼休みイベント「LGBT Pride Month」を実施しました。日本人・留学生がそれぞれ出身国のLGBT事情について発表をした後に、フリーディスカッションをおこなうイベントで非常に盛況でした。
多文化に関する情報のインプット/アウトプットの機会を提供するのも、NINJAとして大切にしたい取り組みです。今後も多国籍の留学生が集まる本学らしい「学べるイベント」をP.A.たちが企画してくれることを期待しています。
■言語使用ルール
NINJAのカウンターでは「言語使用ルール」が明確にされており、日本人P.A.同士のコミュニケーションは原則すべて英語でおこなわれています。留学生と日本人P.A.が会話する際には、留学生P.A.の日本語レベルに合わせて、日本語で話すようにしています。
施設利用学生のコミュニケーションについては、共通言語として英語を推奨していますが、利用者全員が英米語専攻ではないという現状を踏まえ、使用言語を選択できるラベルを用意しています。またフロア全体では、好きな言語を選べるように、本学の全専攻語の多言語ラベルを用意しています。
■さいごに
学習支援室の利用者の大半は、「目標を持って自主的に取り組む」学生や「頑張ってみよう(または「頑張らなくてはいけない」)」という意思を持っている学生です。「自分から勉強に取り組めない」学生やもともと学習に対する意識や危機感の薄い学生層は、なかなか足を運んでくれません。できる限り多くの層に学習に対するモチベーションと興味を持ってもらうためには、どのような仕掛けが必要なのか、また授業外でどこまでの働きかけができるのか。学生スタッフ、教職員ともに、日々アイデアを出し合い議論し、試行錯誤しながら5年目の運営をおこなっています。
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井ノ口さんありがとうございました!
リニューアルしたNINJA、ますますパワーアップしている様子をうかがうことができました。
以前のNINJAは3階に位置していましたが、現在はより多くの人の目に留まる外壁がガラス面の1階に移動していますので、これまでNINJAへ足を運ぶことのなかった学生さんにも自然にNINJAの存在をアピールできているのではないかと感じました。
楽しそうに学習に取り組んでいるNINJA利用者の学生さんたちが、新たな利用者となる学生さんたちを引き寄せるのかもしれませんね。
以上、「スタッフレポート」京都外国語大学編をお送りしました。