「加盟校レポート」17 大谷大学短期大学部 仏教科一般研究室:大谷大学 太田智子先生
■仏教科一般研究室の取組とは
こんにちは。教まちや事務局です。
大学コンソーシアム京都FD企画研究委員の先生に加盟校の活動をご紹介いただく「加盟校レポート」シリーズ。今回で第17弾となりました。
今回は、大谷大学短期大学部幼児教育保育科教授の太田智子先生より、仏教科一般研究室をご紹介いただきます。
今回、取材にご協力いただいたのは、仏教科専任講師である上野牧生(うえのまきお)先生です。東本願寺の学寮を前身とする大谷大学はとても長い歴史を誇る大学。短期大学部仏教科は1950年に開設されました。今回取り上げる一般研究室は開設時から存在しています。一体、どのような取組なのか。事務局は早速インタビューを開始しました。
■出入り自由、いつでも専任教員がいる研究室
太田先生(以下、太田):仏教科一般研究室に常駐されているとのことですが、いつから担当されていますか。
上野先生:現在6年目です。私だけでなくもう1人西本祐攝(にしもとゆうせつ)先生がおりまして、2人体制でこの研究室の管理運営を行っています。西本先生は私の先輩で、私の指導にも当たっていただいております。過去には木越康学長もこの研究室で学生の指導に当たっており、長い歴史を誇る研究室です。
太田:仏教科一般研究室を利用できるのは在学生のみですか。
上野先生:この研究室は在学生だけでなく科目等履修生・大学院生・卒業生も利用できます。また、他学科の先生方がここに配架している文献や資料を閲覧することもできます。卒業生が学生に教える光景もよく見るので、とてもオープンな場所です。
太田:開室時間はどうなっていますか。
上野先生:平日は9時から開室しており、20時までは開けるようにしております。卒業研究制作の時期になると学生の利用も活発になりますので、その時期は土日も開室しています。
太田:一般研究室に常駐しておられると授業との兼ね合いがとても難しそうですがその点はどうですか。
上野先生:この研究室に勤務している間は授業のコマ数は考慮されており、その分、指導に専念することができます。
■仏教の思想は授業だけでは身につかないため、仏教科一般研究室が存在する
太田:仏教科一般研究室は学びの場としてとても大切な場所なのですね。
上野先生:仏教の思想というのは授業だけで身につくものではありません。仏教の根幹は人と人が面と向かって話し合い、時間を共有することで培われます。授業で教える知識とノウハウだけでなく、研究室で学生と教員がともに学び合うことで、仏教の理解がさらに深まることにつながります。そのため、この研究室の存在は不可欠です。
太田:上野先生が仏教科一般研究室を運営されるにあたり、普段から意識しておられることはどんなことですか。
上野先生:普段から学生の様子を気にかけるようにしています。大学の教員というのは、採用の段階では研究業績が重視されますので、着任当初は「自分は研究者」という意識が強かったです。しかし、この研究室で学生の指導を通じて学生との距離感を考えるようになりました。学生は心に複雑な悩みを抱えている場合もありますので、常に距離感を意識しながら学生の指導に当たっております。指導の中で私も色々と学ばせていただいております。
太田:上野先生が今までで1番思い出に残っている学生対応のエピソードはありますか。
上野先生: 研究内容に自信を持てずに、卒業研究に取り組んだ学生のことが印象に残っています。文章を書く基本からの指導になり、ほとんどマンツーマンの対応が続きましたが、断片的な知識に脈絡をつけて表現する要領を覚えたら飛躍的に成長しました。結果、無事に卒業論文を書くことができ、私の中では一番の思い出になっています。
上野先生:この研究室には常に情報が入ってきます。例えば、仏教科教員の授業の進捗状況や学生の授業態度、出席状況など、最新の情報が私のところに入りますので、その情報をもとに学生の指導に当たることができます。また、学生からも「あの先生の授業が分かりづらい」や「あの授業は学生がうるさいのに先生が注意しない」など、そういった情報も入ってきます。学生のリアルタイムの声(意見)は非常に貴重ですので、そのような意見や要望を教員に伝え、教員の授業改善に役立てていただいております。さらに、この研究室は科目等履修生も利用しています。科目等履修生は他大学出身の方が多く、その方たちが学生と一緒に切磋琢磨して学び合っていますので、そういった意味でも学ぶ環境は充実しています。また、仏教科教員にとって一般研究室は、学生の指導を通して教員としての資質を向上させることができます。この良い伝統については継承していければと思っています。これからも仏教の思想を学生に伝えていきたいと思います。
このような素晴らしい取組は他の大学では中々見ないので、今後も継承されることを事務局は願っております。
大谷大学の上野先生ありがとうございました!
以上、「加盟校レポート」大谷大学編をお送りました。