「スタッフレポート」1:佛教大学 入学前教育
■新年度、新企画始めました
こんにちは。教まちや事務局です。
2017年度1回目の「教まちやNews」です。
2014年度から始まった「教まちやNews」ですが、そろそろ新しい企画が欲しいところ・・・
そこでこの3年のレポートを振り返ってみました。
「教まちやNews」は、事務局スタッフが題材を見つけて取材を行う「通常版」と、大学コンソーシアム京都FD企画研究委員の先生方に題材を提供いただき、同行取材を行う「加盟校レポート」の二つの企画があります。
これまで、たくさんの大学教員、職員、学生の皆様に取材のご協力をいただきました。この場をお借りして改めてお礼申し上げます。
本題からそれてしまいましたが、新企画・・・
「加盟校レポート」は教員によるレポート・・・じゃあ、職員によるレポートがあってもいいですよね。安易な発想かもしれませんが、面白そうじゃないですか?
そんなことを考えているところに、とある大学職員の方からこんなお話をいただきました。
「うちの大学でやっている入学前教育を教まちやで取材しませんか?」
教まちやスタッフはこのお話に便乗してしまいました。
「もしよかったら、ブログを書いてみませんか?」
結果・・・ご快諾いただきました!
佛教大学教育推進部の水谷さん、ありがとうございます。
ということで、新企画「スタッフレポート」第1弾となります。
佛教大学で特別推薦入試等での入学者を対象に行われている入学前教育についてレポートしていただきます。
入学前教育はたくさんの大学で行われていると思いますが、佛教大学ではいったいどのような入学前教育が行われているのでしょうか。
■はじめに
佛教大学の教育推進部教育推進課の水谷と申します。
いつもは教まちや事務局スタッフの方が読み易い記事を書かれているのですが、今回は新企画ということで私が記事を書くことになりました。なにぶん不慣れですので、読みづらい文章になるかと思いますが、ご了承ください。
さて、新企画第1弾のテーマは、冒頭にありましたように「佛教大学の入学前教育」について取りあげていきたいと思っております。ちょうどこの記事の作成をお願いされた時期が佛教大学の入学前教育の実施直後ということもあり、初っ端のテーマは入学前教育でいこう!(いけ!)となったわけです。
■佛教大学の入学前教育
今や殆どの大学で取り組まれている「入学前教育」ですが、大学によってその内容が大きく異なるのも一つの特徴かと思います。ちなみに文科省の「大学入学者選抜実施要項」には、「各大学は、入学手続きをとったものに対しては、必要に応じ、これらの者の出身高等学校と協力しつつ、入学までに取り組むべき課題を課すなど、入学後の学習のための準備をあらかじめ講ずるよう努める」とありますので、合格者に対してレポート課題を課したり、あるいは特別授業をしたりといったことをされている大学も多いですよね。
本学の入学前教育はというと、入学前に基礎学力の不足部分を補うリメディアル教育という側面で行うものではなく、入学後の学習や学生生活にいち早く慣れてもらうための準備学習という位置付けで、1日完結型のプログラムを実施しています。
※2月には特別推薦入試および公募制推薦入試を対象に、3月には課外活動入試や法人系列校向けに実施しています。
プログラム自体は1日だけなのですが、本学の田中学長からのお話しがあったり、学科別に交流会を実施したりと内容は盛り沢山です。
その田中学長からは、“佛教大学における学びの根幹”をお話いただきます。その学びの根幹の一つが、仏教思想における「転識得智(てんじきとくち)」です。
転識得智とは、“学びによって得た知識をもって、人生のさまざまな場において、今何をすべきかを判断し、実行してゆく力(生きる力)へと転換する”という意味があるのだそうです。つまり、学ぶことが社会で必要とされる力にもなり、また生きる力にもなると解釈できます。
普通は、まだ高校生の参加者たちの前では、大学での学びとはこうだ!という説明をしてしまいがちなのですが、ここでは敢えて学んだ先の話をされます。参加者がこれまで自分自身が行ってきた学びは、決して受験のためではなく、自分が社会で必要とされる力をつけるため、あるいは生きる力をつけるために学んできたのだと気付かせることで、これからの大学での学びに対する意欲を高めているのです。
田中学長のお話が終わる頃には、高校生たちの目の色が最初の時と明らかに違っています。学長の話術、恐るべしです。
学びに対する意識が高まったところで、次はFDの部門長である岡﨑先生の出番です。まだ参加者の方は、実際に社会に役立つ力や生きる力をつけていくには、自分自身がどのような学習をしていかなければならないのか具体的には分かっていませんが、岡﨑先生のお話によってソコを明らかにしていきます。
もう大学入学直前ですから、甘いことは言いません。
社会から求められる人材、時代に適応できる人材になるためには、どのような姿勢で学びと向き合わなければならないのか、『生徒』が『大学生』になるにはどのようなことが必要なのか、といったことをこれでもかと伝えていきます。私も岡﨑先生の授業に入ったことがありますが、とにかく熱量が半端ではありません。先生の話には、聞き入ってしまう何かがあります。
さて、この時点で参加者のテンションは相当高まっています。高まってはいるのですが、学習以外にも学生生活にはクラブ・サークル活動、アルバイトといった不安要素はまだまだあります。
その不安を取り除いてくれるのが、学科別の交流会です。学科別の交流会では、各学科に分かれて90分間、先生方のお話を聞いたり交流したりすることができます。
各学科の交流会には、在学生にサポーターとして入ってもらっているのですが、この在学生はなくてはならない存在です。参加者からの質問に壇上で答えたり、グループワークのファシリテーターをしたりしてくれるのですが、学科によっては在学生が中心となって90分の時間を組み立てています。3月の課外活動入試対象の交流会では、應援團本部の方々と一緒に学歌の練習をするといった異色のイベントもあります。
やはり先生とは違って、参加者と同じ目線で話をしてくれますので頭にスッと入ってくるのでしょう。サポーターとして入ってくれた在学生の方たち自身も、入学前後の不安な気持ちが分かっていますので、これから入ってくる方たちへ「教えてあげよう!」という想いがすごく伝わってきます。
それらの相乗効果でしょうか、この90分の間に参加者の不安がみるみるうちに解消していくのが参加者のその表情から分かります。交流会の主役は、間違いなく先生ではなく在学生サポーターの方々でしょう!
■おわりに
本学の入学前教育の雰囲気がだいたいお分かりいただけたでしょうか。
何か自慢話のように良いところばかり挙げてしまいましたが、勿論、改善すべき課題は多々あります。
その一つは評価の部分です。参加者の満足度は評価の一つでもありますが、参加者が果たして入学後に良いスタートを切れているのかどうかが気になるところです。入学前教育参加者が、不参加者よりも初年次の成績が良かったというデータも一部見受けられますが、そうでないパターンもあり、まだまだ検証不足な点は否めません。
また、本学の入学前教育も、何年も前からこの形で実施してきたわけではありません。最初は冒頭の文科省の「大学入学者選抜実施要項」のような形で実施してきましたが、何度も検証を繰り返していくうちに今のような形になりましたし、来年度はまた違った形で実施するかもしれません。
どのような形がベストなのかは分かりませんが、今回の成果を振り返って、検証を重ね、より入学予定者の方々のためになる入学前教育を実施していきたいと思っております。
それでは、失礼いたします。
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水谷さん、ありがとうございました。
入学前教育というと、堅苦しいイメージがあったのですが、在学生が主役でもあるという学科別交流会のお話を聞いて、参加者も在学生も楽しみながら時間を共有している様子が目に浮かびました。佛教大学の入学前教育は、入学予定者の為だけの学びの場ではなく、在学生にとっての学びの場でもあるのだと感じました。
在学生サポーターとして入学前教育に参加することは「転識得智」につながっているのかもしれませんね。
新企画「スタッフレポート」いかがでしたか?
もし「自分もレポートを書いてみたい」という方、「レポートを書くのは無理だけど、うちの大学のこの取組・この施設を取材してほしい」という方は、ぜひ教まちや事務局までご連絡ください。
連絡先:fdrd■consortium.or.jp(■を@に変えて送信ください)
今年度も「教まちやNews」をよろしくお願いします!!